日本のアニメの付加価値を出す2〜製作費
アニメ製作費530億、アニメ製作者売上1,079億、アニメ産業全体売上1兆6400億という、この日本のアニメビジネスにおける数字をどう考えるか。
まずアニメ製作費については最初から予測されていたことであるが少ない。もちろんアメリカと比べてである。現在アニメを「製作」しているのは実質的に日本とアメリカしかない。これだけの金額で1年間(2005年度)のアニメ製作がまかなえるのであるやはり安いといえるであろう。
日本のテレビアメリカの製作費を仮に1本当たり1300万とするとアメリカは2倍から4倍はする。昔はもっと離れていたが円高と日本のアニメの影響で製作費が安くなり差が縮まった。また、日本の劇場アニメ製作費が3億とするとハリウッドメジャー作品ならその20倍から40倍といったところであろうか。ハリウッドの劇場アニメを7〜8作つくれば日本の年間製作費になる。
日本のアニメ(テレビ)の製作費は最初から価格破壊であった。手塚治虫が決めた55万円という金額(テレビ局から支払われる金額。実際はその5倍程度かかっていた。ただし現在55万ではなく155万だったという説が浮上)は制作現場にとって塗炭の苦しみを与えることになったが、同時に無類の競争力を生んだ。
1980年代以降日本製アニメは世界各地においてハリウッドアニメのみならず、現地製作のアニメをも駆逐して行く。安くて面白い上にストックが豊富なため一度放送しはじめるとそのスキームから抜け出せなくなるからだ。日本製アニメが海外進出に成功したのは価格競争に勝利したからであるが、それはある種意識せざるダンピングでもあった。
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