日本のアニメは幾らでつくられているのか?
前回は日本のアニメは一体どれくらいつくられているかについてであったが、今回は「どれくらいでつくられているか」である。よくアニメの製作費はわからないといわれるが、実は結構わかりやすいのである。特に、日本のアニメの主力であるテレビの場合、大体相場が決まっている。
それに対してアメリカのアニメ製作費は結構開きがある。特に劇場アニメでは監督や声優(映画スターを起用する場合が多い)などのギャラが高いこともあり(above the line)、製作費が1億ドル(120億円)を超える作品がある。それに対し、日本ではジブリ作品の30億円程度がマックスである。
TVアニメでもシンジュケーション(独立局のネットワーク)ではかなりの開きがあるが、要するにアメリカは最高値が高いのである。
アニメの制作費のキーは「期間」である。時間=手間ヒマかけるということは、それだけ制作費がかかるということである。ギャラの差があまりない日本では制作費=製作期間と思えばいい。だから完成が遅れると製作はどんどん上がる。劇場アニメなどにたまにそういうケースが見られる。
アニメの制作費のキーは「期間」である。時間=手間ヒマかけるということは、それだけ制作費がかかるということである。ギャラの差があまりない日本では制作費=制作期間と思えばいい。だから完成が遅れると制作費はどんどん上がる。『スチームボーイ』など劇場アニメなどにたまにそういうケースが見られる。
TVアニメの場合、放映日という絶対的納期があるので比較的制作費は遵守されやすい。それでも、アニメ制作は実際現場に入ってみなければどう転ぶかわかない部分が多い。多人数がかかわる共同制作はみなそうなのかも知れないが、映像制作には常にその種のリスクが潜んでいる。
低予算と生産性の高さで市場を席巻した日本のアニメにとって(もちろん面白いというのが前提にあるが)、最近のアニメ制作費の上昇傾向は競争力を保つための重要な意味がある。労働集約型であるアニメ制作において制作費のアップは避けられないが、同時にデジタル技術の積極導入などによる生産性アップも必要であろう。
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