堀淵清治『萌えるアメリカ』
(06年/日経BP社/1,600円税別)
日本のマンガ・アニメの海外事情がよくわかる本として推薦したいのがこの『萌えるアメリカ』である。結構話題になったので既に読んでいる人も多いと思うが実際アメリカでの最前線の話なので非常に参考になる。
堀淵氏とは以前一度お会いしたことがあったが、どうもその辺のビジネスマントは違う雰囲気だったのが印象に残っている。要するに砕けた感じだったのだが、その理由がこの本を読んでわかった。堀淵氏は元ヒッピーだったのである。
それはともかく、アメリカでは日本のマンガがコミックを追い抜きそうな気配を見せているが、その原動力となったのは間違いなく小学館の出資でつくられ掘淵氏が長年に渡り代表を務めてきたVIZコミュニケーションであろう。本書を読めばアメリカにおけるマンガの歴史、そしてコミックの現状をほぼ把握できる。
アメリカのコミック市場は日本に比べてかなり低いが、今後バラエティに富んだ日本のマンガがどんどん出版されれば拡大する可能性は大きい。年率30%以上の伸び率を示している日本のマンガがこのまま順調に推移すれば、アニメにも好影響を与えるのは間違いない。その起爆剤になるのはVIZが刊行している『SHONEN JUMP』『SHOJO BEAT』の二つのマンガ雑誌である。日本独特の文化であり情報の発信源となるマンガ雑誌が本格的にブレイクすれば日本並みの市場が生まれるのも夢ではない。
日本のポップカルチャーが海外においてどのように受容されているかについては『模倣される日本』(浜野保樹/祥伝社新書)を読むと面白い。また、アメリカにおける日本のアニメの受容については『アメリカで日本のアニメは、どう見られてきたか?』(草薙聡士/徳間書店)に詳しい。
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