ケータイでアニメを流したい!?
当時渋谷にあるケータイ・コンテンツの会社で働いていた市川氏はほとんど飛び込みに近い形でマッドハウスを訪れた。時は2003年、彼はまだ20代後半であった。要件は何かというと、「ケータイでアニメを流したい」ということであった。
もちろん、当時ケータイで動画を流すなどということは夢のまた夢の出来事のように思われた。しかし、今のケータイコンテンツは音楽配信が主流だが、これから絶対映像の時代が来る、だからケータイ用のアニメを制作したいのだと熱心に説くので話を聞いてみることになった。
ところが、ケータイ屋が考えるアニメとアニメ屋が考えるアニメとでは余りにもレベルが違いすぎた。市川氏が考えていたのは比較的簡単に出来るショート・コンテンツであり、内容的にも予算的にも長大重厚を得意とするスタジオとは相容れないものであった。
そういった経緯で結局話は流れてしまったのだが、それから氏との付き合いがはじまったのである。非常に前向きでアグレッシュブな感覚を持ち、アニメも好きだという。それから時折食事などを共にしていたが、会社を辞めるという電話をくれたのは出会いから1年半余り経った頃であった。
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