黒澤映画の格安DVD販売差し止め
東京地裁は9月14日故黒澤明監督作品の格安DVD販売する「コスモ・コーディネート」に対し製作・販売の差し止めを命じた。原告は東宝と角川映画、作品は東宝製作の「姿三四郎」「生きる」、黒澤が大映(角川が継承)で撮った「羅生門」など10作品である。
これは先だってアニメ関連メディア情報9でお伝えしたように旧著作権法(1970年以前)に製作された映画について監督を著作者と認定し死後38年まで(2036年)作品の著作権を認めるというものだった。
2004年に改正された著作権法では保護期間が公表後50年から70年に延長されたが、現行法施行前の作品については公表、監督の死後いずれかの満了日が遅い方を適用すると定めている。
ここで気になるのはディズニー作品である。ディズニー映画の唯一にして絶対的な「著作者」であるように見えるウォルト・ディズニーが亡くなったのは1966年である。ということは1930年代に一世を風靡した『三匹の子ぶた』をはじめとするシリーシンフォニーシリーズのほとんどは現行及び旧著作権法の保護期間が共に切れていることになる。さらに世界初の長編劇場カラーアニメ『白雪姫』(1937年)も同様である。
ところが、ほとんど興味を持たれることはないが『白雪姫』には「創作に寄与した」監督がいる(当たり前だが)。作品にはディズニーを含む複数名のディレクターが関与しておりディズニーより長命であった人間が何名かいる。そうなると今回の判例で行けば保護期間は切れていないことになる。ディズニーが生きていたらおそらく絶対にそれらの監督を著作者として認めなかったと思うが今回の司法判断によってディズニー作品の寿命が延びたことだけは確かであろう。
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