パッケージと配信の関係
音楽業界でよく言われるのはP2Pソフトによる違法配信等によってパッケージ(CD)の売上が減少しているということである。そのため海外ではレコード業界団体によるユーザーへの訴訟がしばしば起こり、日本でも2005年にレコード会社5社が悪質と思われる不正ファイル公開者5人に対し著作権侵害を指摘、平均48万円の損害賠償金で和解した。
しかし音楽パッケージ減少の原因は違法ファイル交換ではないという意見もある。ジャーナリストの鳥賀陽弘道氏はその著書『Jポップとは何か〜巨大化する音楽産業〜』でその原因をテレビCFやドラマタイアップに音楽プロモーションを頼りすぎたせいであると指摘、流行に敏感な層はすでに1990年代末からネットによる情報収集に移行しているにもかかわらず、レコード業界が方向転換をはかれなかったため今日の低迷を招いていると述べている。
一方アニメの場合はどうか。映像も音楽に負けず劣らずネット上でファイル交換がなされており特にアニメは盛んである。しかし現状アニメのパッケージ市場(DVD)では音楽史上のような極端な落ち込みは見られない。またアニメの配信市場の規模も小さく、シングルCD市場が着うたに取って代わられているような現象も見られない。
音楽の場合急伸する配信市場がまだパッケージ減を埋めるに至ってない。アニメでも長期的に見るとパッケージは減少傾向をたどると思われるが、総体としての売上を減らさずバランスよく配信市場に移行するためにはPCやケータイなどを新たなプロモーション・ウィンドウとして機能できるようになるかがカギになってくるであろう。YouTubeは大きなプロモーション・ウィンドウとなりつつある。これがビジネスに結びつくことが証明されれば一気にそのスピードが加速されるであろう。
コメント