ソニー・ピクチャーズ、3Dアニメから「撤収」②〜苦戦続きのソニーの3Dアニメ
まず、2006年に公開された初のソニー配給3Dアニメ『オープン・シーズン』の北米BOX OFFICEは、ハリウッドの合格ラインである1億ドルに満たない84,303,558ドルであった。この数字は1999年に北米で公開されたポケモンの第一作『Pokemon : The First Movie(邦題『ポケモン ミュウツーの逆襲』)』のBOX OFFICE85,744,662ドルとさほど変わらない。この成績では、数億円に満たないアニメ作品と比べ桁違いの製作費をかけた作品の採算が取れるはずもない。ハリウッドのメジャー・スタジオが4年にわたって準備し、満を持してリリースした映画としては全く物足りない数字であった。
『オープン・シーズン』に2ヶ月ほど先駆けてソニー配給で北米公開されたのが『モンスター・ハウス』であった。この作品はSPA製作ではなく、先に述べたアンブリン・エンタティンメント社作品であったが、こちらの作品の北米BOX OFFICEは73,661,010ドル。同時期に公開されたドリームワークスの『森のリトルギャング』155,019,340ドル、ピクサー『カーズ』244,082,982ドルと比べると如何にも淋しい。
さらに、日本では年末公開であるSPA×SPI作品『サーフズ・アップ』も今夏北米リリースされ58,867,694ドルのBOX OFFICEに留まっている。来年以降も公開予定作品はあるものの、これらの数字を見ると鳴り物入りではじまったソニーの3Dアニメ挑戦はどうやら結果が出てしまったようだ。
某広告代理店アニメプロデューサーを経て、現在、フリーランスで映像コンテンツ企画開発を行っている者です。
毎回、記事を興味深く拝見させていただいております。
自身、2005年3月に経済産業省主催でSPI社のスタジオ見学をさせていただきました。
http://www.dhw.co.jp/gs/ucla/blog/index04.html
さすがハリウッドの最先端技術を結集した設備でしたが、やはり、映像コンテンツのビジネスとして採算に見合った投資をしているかは、疑問を持ってしまう内容でした。
なかなか設備投資の問題は、日々技術進化し続ける映像業界では難しい問題であると感じます。
投稿情報: なかいたけし | 2007/11/06 14:10
コメントありがとうございました。
外に向けてSPIがつくった映像は評価されています。それなのに、自社ブランド作品がヒットしなかったのはプロデュースサイドの問題ではないかと思います。『オープン・シーズン』は企画力も含め、アプローチが安易だったと思います。結局元の2強体制に戻るような気がするのですが・・・。
投稿情報: 増田 | 2007/11/06 16:06