ソニー・ピクチャーズ、3Dアニメから「撤収」③〜「3Dアニメ乱立の時代」から「選択の時代」へ
2006年はピクサー、ドリームワークスという両巨頭を中心として、メジャー・スタジオが一斉に3Dアニメに参入した年であった。それまで年間2〜3作であったアニメ市場に一挙10作品以上が投入されれば市場に変化が起きるのは当然である。以下は2006年に北米公開された主な3Dアニメ作品である(公開順)。
〈2006年北米公開劇場3Dアニメ〉
作品(配給会社)
『DOOGAL』(Weinstein)
『アイスエイジ2』(Fox)
『ライアンを探せ!』(Disney)
『森のリトル・ギャング』(Dreamworks)
『カーズ』(Pixar)
『モンスターハウス』(Sony)
『アントブリー』(Warner)
『BARNYARD』(Paramount)
『EVERYONE'S HERO』(Fox )
『オープンシーズン』(Sony )
『FLUSHED AWAY』(Dreamworks)
『ハッピーフィート』(Warner)
いやはや凄い数である。3Dアニメの適正市場規模がどれほどなのかはわからないが、これだけの映画が公開されれば当然興行の数字が割れることが予測される。その結果の以下のような順番となった。
〈2006年3DアニメBOX OFFICE〉
作品(興行収入)
①カーズ(244,082,982)
②アイスエイジ2(195,330,621)
③ハッピーフィート(180,571,407)
④森のリトル・ギャング(155,019,340)
⑤オープンシーズン(84,303,558)
⑥モンスターハウス(73,661,010)
⑦BARNYARD(72,637,803)
⑧FLUSHED AWAY(61,733,119)
⑨ライアンを探せ!(37,384,046)
⑩アントブリー(28,142,535)
⑪EVERYONE'S HERO(14,522,427)
⑫DOOGAL(7,417,319)
(単位:ドル)
この数字を見ると明暗がはっきり分かれているのがわかるであろう。BOX OFFICE1億ドルを目安としてスタジオ毎の「勝敗」を書くと、ピクサー1勝、FOX1勝1敗、ワーナー1勝1敗、ドリームワークス1勝1敗、ソニー2敗、パラマウント1敗、ディズニー本体1敗、ウェスティング1敗である。1勝1敗のスタジオには次回も挑戦の機会が与えられかも知れないが、連敗したところには厳しい結果が待っているのは当然であろう。
ディズニー本体も初の自社製作『チキン・リトル』(2005年)は135,386,665ドルとよかったものの、2作日の『ライアンを探せ』ではわずか37,384,046ドルという手痛い敗北を喫している。これが3Dアニメ部門のリストラ、2Dアニメ復活につながったのであろう。
混戦模様であった2006年から1年が経過した今、状況は早くも「3Dアニメ乱立の時代」から「3Dアニメ選択の時代」に入っている。
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