アニメ右肩上がりの要因2〜メディアの発展による牽引効果
2.1テレビによる牽引効果⑤〜続々と参入した後続者
アトムの大ヒットによりTVアニメへの新規参入が相次いだ。TCJ(現エイケン/『鉄人28号』『エイトマン』)、ピープロ(『0戦はやと』『ハリスの旋風』)、東京ムービー(『ビッグX』『オバケのQ太郎』)、竜の子プロダクション(『宇宙エース』『マッハGoGoGo』)などが続々と誕生し一斉にTVアニメの製作を開始した。
また最大手の東映動画もアトムの成功を見てTVアニメに進出(『狼少年ケン』『少年忍者風のフジ丸』)、長編劇場路線からTV路線へと次第にシフトしてゆく。このようにアトムに続く新規参入者によって1960年代中盤以降TVアニメの製作数が一気に増え第一次アニメブームが巻き起こるのである。
以上簡単な概観ではあるが、日本のアニメが商業的に発展したきっかけは『鉄腕アトム』をはじめとするTVアニメが契機であった。もちろん劇場アニメにおける東映動画の業績も見逃せないが、現在製作されているアニメの制作分数にして95%、製作費にして80%がTVアニメである。その意味からしても日本のアニメの産業的主流はTVアニメにあるといってもよいであろう。
1950年代から1960年代にかけてテレビ時代を迎えたアメリカでは、ハンナ・バーベラなど一部の製作会社を除きアニメ産業全体が衰退した。その象徴が1966年のウォルト・ディズニーの死であろう。彼の死と共にディズニーのアニメも大きく下降する。前にも述べたが日本とアメリカではアニメ産業の盛衰がクロスする形になっているのである。
コメント