アニメ右肩上がりの要因1〜メガヒット作品の牽引効果
三つのブームを形づくったメガヒット作品
アニメの成長を支えた要因はいろいろ考えられるが、まず何よりも大きいのはヒット作品による牽引効果であろう。これはアニメに限ったことではないが、大ヒットによって状況が一変することが往々にしてある。
今までの述べてきたように1963年の『鉄腕アトム』以来、アニメを取り囲む状況を一変させる起爆剤となったのは常に爆発的なヒット作品によってであり、それによって一気に多くのファンを獲得してきたという歴史がある。そして先に挙げた一連のメガヒット作品は以下のようなファン層を取り込んだのである。
まず第一次アニメブームを引き起こした『鉄腕アトム』は子どもたちを捉えた。次の第二次ブームの『宇宙戦艦ヤマト』ではそれに青年層が加わった。そして、第三次ブームでは、それにさらに一般層、女性層、ヤングアダルト層、海外層までが加わったが、これはブームを牽引した四つの作品のマーケット傾向そのままである。
『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』は日本の興行記録を塗り替えたという事実が示すように一般層まで大きく食い込んだ。『エヴァンゲリオン』はアニメファンのみならずアニメという意識を持たないヤングアダルト層を巻き込んだ。瞬間風速としてはおそらく史上最大のキャラクターとなった『ポケットモンスター』は世界中の子どもを魅了した。このように、日本のアニメの発展はそのまま観客層・視聴者層拡大の歴史でもあった。
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