アニメ右肩上がりの要因3〜ファイナンスシステムの多様化による牽引効果
ファイナンスシステムの多様化①〜資金調達の方法
アニメの成長要因の三番目に上げられるのがファイナンス(資金調達)システムの多様化である。現在アニメ製作における資金調達の方法を挙げると以下のようになる。
〈資金調達の種類〉
① 製作会社の自己資金による自社製作方式
② 製作・運用に直接かかわる複数の企業が出資する製作委員会方式
③ 原則製作・流通と分離した出資による純粋投資方式
① は製作会社が自己資金で作品を製作し運用も自ら行うというパターンである。日本における本格的商業アニメのスタートを1956年の東映動画設立として、現在に至るまでの約60年間の歴史の中で、ほぼ50年間はこの方式によるファイナンスが中心であった。かつての東映アニメーションやトムス・エンタティンメントなどはこのスタイルでアニメを製作していたが、現在では②のパターンで製作されることが多い。
② は製作会社や運用にかかわる当事者(運用にかかわる会社のみで製作委員会が構成され、実際の制作会社は単なる下請けの場合も多い)によるファイナンス方式である。1990年代中盤以降、この方式が急速に増え現在ではファイナンスの主流となっている。
③ はファイナンスと製作・運用とが原則分離している製作方式である(実際には製作者の自己資金50%、コンテンツ・ファンドなどからの出資が50%などといったケースもしばしば見られるが、この方式による投資者は作品の権利に触れないのが原則である)。2000年以降から導入されたこともあって、まだ実績が出たケースが少なく、今後の成りゆきが注目されている。
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