アニメ右肩上がりの要因4〜収益構造の多様化による牽引効果
収益構造の多様化⑤〜ビデオの登場
テレビに次いで生まれた収益性の高いメディアとしてビデオがある。『アニメビジネスがわかる』解説37でも書いた通り、それはそれまで商品化権中心であったアニメのビジネスモデルを変えたほどである。
ビデオという映像商品は1970年代後半から顕著になった青年層中心のアニメファンと相性がよかった。『アニメビジネスがわかる』でも述べたが、1987年に発売された『うる星やつら』のLD50枚セットが33万円という破格の価格設定にもかかわらず売れたということは、アニメファン層のコレクター性を浮かび上がらせた。
ビデオグラム中心のビジネスモデルが誕生して20年以上が経過した。その間、アニメのビデオグラムの売上は飛躍的に伸びた。2007年の現在では(日本映像ソフト協会発表1月〜6月期売上)、ジャンル別シェアで「洋画(TVドラマを除く)」が不振だったとはいえ「日本のアニメーション(一般向け)」が遂に売上金額1位(24.6%)を獲得した。「日本の子ども向けアニメーション」のシェア5.6%と併せると30.2%となり、ほぼ3作に1作が日本のアニメーションということになる。
最近よく業界内でアニメパッケージの売上が落ちているという声を耳にするが、数字を見ると総体としては決してそうではないことが理解できる。にもかかわらずそういう声が聞かれるのは明らかに作品増加による数字の分散からくるものであろう。10年前の3倍以上の新作タイトルをリリースしている現状では、当然といえば当然のことである。
アニメパッケージの売上が未だに衰えないという状況は誠に慶賀すべきであるが、音楽業界を襲っているパッケージ不況がいつ訪れるとも限らない。そろそろ次の一策を考える時期に来ているのではないだろうか。
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