アニメ右肩上がりの要因4〜収益構造の多様化による牽引効果
収益構造の多様化⑥〜海外収益
現在のアニメビジネスではずせないのが海外からの収益(上映・テレビ放送などの映像販売、ビデオ化権、商品化権など)である。作品によっても異なるが、最近では製作する段階で既に海外からの収益予測が組み込まれているのが普通である。しかし、この海外収益と予測に組み込まれるようになったのはここ数年であった。
「東洋のディズニー」を目指した大川博が、最初から海外での展開を目論んで製作した東映動画の第一弾『白蛇伝』は、その意図通り当時貴重だった外貨を獲得することができた。また日本で最初のテレビアニメである『鉄腕アトム』はNBCが放映権を購入し、シンジュケーション・ネットワークで全米に放映された。その直ぐあとに『ジャングル大帝』『マッハGoGoGo!』と続くでのあるが、それはどうやら「ビギナーズ・ラック」であり、1970年代からアメリカでは日本アニメの暗黒時代が続く。
一方、アジア、ヨーロッパでは1970年代から快進撃を続けていた。人気の余り日本製アニメが放送禁止になるほど過熱した国もあったが、その辺の事情は「アニメ関連メディア情報19」で述べた。しかしながら、アニメビジネス的にいえば人気の割にはがさほど金にはならなかったいうのがその頃の事情で、本格的に海外ビジネスの扉が開くのは2000年代に入ってからである。それはポケモンによってアメリカのマーケットが解放されたためであった(その辺の事情は『アニメビジネスがわかる』解説27で述べた)。
ポケモン以降安定した収益源となった海外販売であるが、最近は遊戯王に続くヒット作がなく、またアメリカでDVDパッケージ売上が伸び悩むなど停滞気味である。
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