アニメ右肩上がりの要因4〜収益構造の多様化による牽引効果
収益構造の多様化⑦〜ウィンドウの多様化
今まで述べてきた収益源を上げると以下のようになる。
①映画興行
②商品化
③音楽
④放送
⑤ビデオグラム
⑥海外販売
これらがアニメ製作者における主な収益源であるが、この他にイベント、出版(音楽出版ではない本の出版)、最近はさらにインターネット、ケータイなどにおけるウィンドウの売上がある。
イベントはアニメ番組の着ぐるみショーや、展示イベントのことである。昔からある収益形態ではあるが、子ども向けの強いキャラクターを持ち、イベント制作機能を持っている製作会社にとっては安定した収益源になっている。
出版はアニメのムックやノベライズ化など派生関連書籍のことを指す。オリジナルでつくったアニメがマンガやライトノベルになる場合が多いが、「ガンダムエース」のようにキャラクターが雑誌になる場合もある。またプロダクションIGのように出版社(マックガーデン)と経営統合を果たす場合もある。逆に小学館のように子会社を通じてアニメ製作に参入する企業もある。何れにせよアニメと出版(特にマンガ)は切っても切れない縁があるので、書籍のデジタル化と相まって注目される分野になるであろう。
今後のアニメビジネス収益源で現在一番注目されているのが、インターネット、ケータイであろう。インターネットではすでに実績を築きつつあるが、今年から来年にかけてアグリゲーション最大手のバンダイ・チャンネルが本格的にケータイに向けて配信を開始する。
以上、アニメビジネスの収益構造を見てきたが、やはり現在は大きな変換期を迎えていると言えるであろう。そして、それは主にデジタル技術によってもたらたされるものである。現状パッケージに変わる大きな収益源はまだ見当たらず先行き不透明であるが、YouTubeが提唱しているように、ネットに対し正式に動画を提供する事業者が現れ、それに関する広告費分配モデルが成立するようなことになれば事情は一転するであろう。
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