2007年を振り返る②〜サンライズの強さの秘密
2006年、2007年と話題を提供し続けたサンライズ。その強さの秘密はどこにあるのか?
これはあくまで私見であるが、それはおそらく現在のスタジオシステムが事業部制としてうまく機能しているからであると思われる。承知のようにサンライズにはプロデューサーごとにスタジオを構えているが、それぞれ非常に独立性が高い。各自がそれぞれ自前の施設を有しており、その意味で独立した事業会社に近いといえるであろう。
聞くところによると、各スタジオ間、特にプロデューサー同士の競争意識はかなり高いとのことである。また、個々にスタジオを構えているせいか、独立心も旺盛なようで、実際サンライズは制作会社やプロデューサーを数多く輩出している。
サンライズにおいては、このスタジオ間の競争が企画や作品制作に対するアグレッシュブな姿勢を生む要因となっているのであろう。このアグレッシュブというのはただ単に先端的で尖った作品をつくるというだけではない。アニメ業界のマーケットも考えた上での、いち早い取組という意味も含まれている。例えば、パッケージビジネスに翳りが生じつつあるのを関知したのかどうかはわからないが、すでに深夜帯アニメから全日帯アニメに完全に制作軸を移している。
その時々のマーケットを重視するのは、サンライズが「健全な経営」を標榜する会社であるからだろう。自由度は確保されているが、それはあくまで採算が取れる範囲の中でのことである。そのへんは、「何やってもかまわへんが、但し儲からなあきまへん」という吉本興業に通じるものがあるが、企画の先進性とこのあくまで採算性の範囲の中でというバランスの良さがサンライズ躍進の大きなポイントであろう。
2006年度アニメ製作会社売上は東映アニメーション、サンライズ、トムス(アニメ部門のみ)、GDH、プロダクションIGの順番である(売上が公表されている会社)。サンライズは『ガンダムSEED』以降、売上をかなり伸ばし、2006年にはちょうど東映アニメーションとトムスの中間に位置するようになったが、2007年(2008年3月決算)は東映アニメーションが10%の売上減を予定しているので肉薄する可能性がある。
2008年のサンライズであるが、現在放映中の『ガンダムOO』に続き、『コードギアス』の2ndシーズンが4月からはじまる。そして10月からは『ガンダムOO』2ndシーズンがそれに続く。その意味では今年もサンライズは「日の出づる」会社であり続けるであろう。
(ところで、劇場版『ガンダムSEED』の進行はその後どうなのであろう。最近余り話を聞かなくなったが、もしこれが2008年度中に公開され、DVDが発売されると売上一位の座も決して夢ではないのだが・・・)
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