2007年を振り返る④〜新作TVアニメ減少傾向その1
新作数は減ったがDVD売上は微増という現状
アニメージュの「2007年知っておきたいアニメ事情」四番目は「新作TVアニメ本数減少へ・・・」という記事である。これに対応する2006年度の記事は、「春の新作 過去最大に」である。たった一年間で何が起こったのだろうか?
正確な数字はまだ出せていないが、前年度に比べて2007年のTVアニメ新作数がかなり少なかったのは事実である。1990年代後半から深夜枠の解放、BS、CSなどのメディアの増加、またデジタル化による生産性のアップが重なったこともあって、急激に新作アニメが増え続けていた。そのため適正マーケット規模がどれほどであるか未だにつかめないでいたが、どうやら過去最高の新作数であった2006年で数量的な上限は見えてきたようだ。
しかし、それが即ちビジネス的な限界かはまだわからない。その大きな目安となるDVDの売上は2007年に入ってもまだ落ちていない。日本映像ソフト協会の発表によると、2007年上半期(1月~6月)のアニメDVD売上は緩やかな成長を保っている。ただし、これは2006年度製作のアニメが主に対象になっていると思われるので、2007年度アニメ番組が減少したことによるビジネス的影響は今年の数字を見なければ判断できない。
最近業界関係者からDVDが売れなくなったという話をよく耳にする。しかし、全体の売上は落ちていない。これはどういうことかと言えば、要するに作品が増えたので、個々のタイトルの数字が落ちためであろう。作品が増えるペースに合わせてDVD購買者が増えているとは思えないので、つまりはタイトルが多すぎるのということではないのか。
音楽業界では1998年を頂点として急激にCDの売上が落ちはじめ、現在では最盛期の2/3にまでなってしまった。ところが、実は音楽著作権の売上はむしろ伸びている。これが意味することは音楽自体のニーズはあるということなのだ。大幅なパッケージ減は加速するデジタル化(ネット配信)の波に既存のビジネスプレーヤーが対応できなかったということであろう。アニメ業界では、幸いにまだ大幅なパッケージ売上減といった現象は見られないが、いずれこの波は訪れるものと思われる。(この項続く)
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