『ドラゴンボール』実写化⑤〜「本歌取り」ととクリエィティブ
「本歌取り」という言葉がある。辞典によると「本歌とは典拠となる古歌で、その一部を借用して趣向の複雑化、イメージ・情調の倍加を図る修辞法をいう」とある。感銘を受けた和歌に触発され、かつそれを借用しつつ新しい創作をなす。
また「連歌」という形式もある。和歌や俳句の上の句と下の句を別な人間が創作し、それを延々詠み連ねて行くというものである。現代の言葉で言えば「本歌取り」で生まれた作品は二次著作物であり、「連歌」のそれは共同著作物及び二次著作物である。このように、先行する作品を創作の下敷きにするという行為はあらゆるクリエィティブの世界で散見されるものである。
創造の一歩は模倣からはじまる。クリエーターは好きな音楽やマンガをせっせとコピーした結果の存在といってもいい。その意味で100%のオリジナルということは有り得ない。ダイレクトにパクると「剽窃」、自分なりの解釈を入れると「創作」と社会では呼ばれる。
強い著作人格権の世界では、ややもするとその立て前に囚われる余り考え方が硬直しがちである。創作活動の循環を考えると、それは必ずしもプラスとはならない。コピー&ペーストが当たり前の社会において、情報の発信者と受け手の間の差はどんどん縮まりつつある。ユーザーにしてクリエーター。デジタルの恩恵によって新しいクリエーター層が顕在化しつつある。そうした潜在的クリエーターの力を利用しない手はない。
コメント