『ドラゴンボール』実写化⑪〜『SUKIYAKI(スキヤキ)』の甘い香り
そのアメリカ人のプロデューサーは元マーベル・コミックのバイス・プレジデントでアニメーション部門に在籍していたLee Gunther(リー・ガンザー)という人間であった。彼はその時、マイケルという若い弁護士とパートナーを組み、アニメ製作会社をやっていたのだが、「5 T-Rex」のキャラクターに惚れ込み是非アニメ化したいと申し入れてきたのである。
日本のキャラクターがアメリカでアニメ化され、全米にオンエアーされるというのはおそらく史上初の出来事であったろう。ピンク・レディーのようにタレントが番組を持つというようなことはあっても、アニメというのはじめてである。当然、『SUKIYAKI(スキヤキ)』の甘い香り?が広がる(坂本九の『上を向いて歩こう』の英語タイトル。1964年、突如としてビルボード・チャートの一位に輝いた)。
まあ、ここまでは夢の部分で、当然のことであるが途中経過は大変であった。ほとんど前例のないことなので、契約をはじめとして、手探り状態で右往左往する日々であった。
それでも、Lee Guntherという人は、思わず「リーおじさん」と言いたくなるようないい人で、アメリカのエンタティンメント・ビジネス界では珍しく好人物であった(アメリカ在住の関係者がそう言っていた位だから本当であろう)。多分、子ども相手のアニメを長年やっていたからではないか。。
そのリーおじさんの人柄もあって、何とかオンエアーも具体的になり、見通しが開けてきたとき、キャラクターの根幹に関わる提案が先方からあった。それは全く同じ容姿の5人(匹)の恐竜の兄弟を色分けしたいというものであった。理由は同じ色だと玩具が売れないというもの。売り込み先のマテルかハスブローかは忘れたが、そう言われたとのことである。日本でもしばしば見られるケースである。さて、どうしたものか。
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