『ドラゴンボール』実写化と原作⑱〜もし改編が成功したら?
ドラゴンボールの実写版からはじまり、原作と作品の関係をあれこれ書いているうちに随分長い回り道をしたが、この件は今回でお終いとする。
ドラゴンボールの実写で予測される改編について、今までほとんど「改悪」されるということを前提に述べてきたが、現時点で「推定有罪」と決め込んでしまうのはフェアーではない。そこで、もし実写作品が素晴らしい出来であったらという場合を考えてみよう。
実写のドラゴンボールが面白く、世界的な大ヒットとなったら?もし、そのような事態があったとして起こり得る状況はどのようなものか?
『ジャングル大帝』の例を見てみよう。もし、いま『ジャングル大帝』をリメイクして世界中の人が見たら何と言うであろうか?おそらく『ライオンキング』を見た多くの人々から主客転倒の言葉が聞かれるに違いない。
『ジャングル大帝』の方が先につくられた作品であるということは歴史的に証明済みであるが、現在では『ライオンキング』を見た人間の方が圧倒的に多くなっているのは事実であろう。そんな人間にとって、『ジャングル大帝』が「『ライオンキング』もどき」に見えてしまうのは残念ながら仕方ないことかも知れない。そして、それはドラゴンボールにおいてもその可能性は否定しきれない。
ドラゴンボールは日本のコンテンツとしては最も世界に知られたもののひとつとなっているが、それはあくまでアニメの世界での話であり、今回の実写はそれ以外の層にも向けてつくられている(はずである)。もし、映画の出来がよく大ヒットし、アニメを知らない多くの実写版ファンが誕生すれば、「このアニメ、映画と全然イメージが違う」と言い出す人間が現れる可能性も否定できない。
この問題を掘り下げると、要するにハリウッドが世界のエンタティンメント生態系の頂点で、そこが「上がり」となっている状況に行き当たる。ドラゴンボールという作品のイメージをコントロールするためには、本来日本で実写まで手がけるべきなのである(親会社で実写化しようという話はなかったのであろうか?とは言うものの、もし本当にそうなったら、それはそれで怖ろしい話ではあるが・・・)。
さて、実写版は現在のところ8月15日(金)公開予定とのことである。夏シーズンの本線ではないが、それでも夏休みにかかっているので悪くはない日程である。しかし、よりによって(もちろん偶然であろうが)終戦記念日の8月15日になるとは、早くも日本サイドは戦意喪失の気配が濃厚である。いずれにせよ、話題性は十分であり、さらに突っ込みを入れたい人間も相当いるはずなので、複雑ではあるが案外客が入るのではないか・・・(私が行くのも間違いないし)
ハリウッド版のドラゴンボールを観たければ観ればいいけど、せめて映画館に行かなくて、DVDのレンタルなどを待ってくれませんか。
投稿情報: ドラゴンボール実写版ボイコット国際協会 | 2008/02/19 17:25