ネット上のファイル交換違法化の動き⑥〜非親告化の動き
著作権侵害は刑事罰の対象であるが、一部を除き原則親告罪であり、また事実関係が見極めにくいためか、海賊版摘発などを除いて刑事告訴されるケースは希であった。
アメリカでは2003年秋から米レコード協会が約9,900人を提訴し、数十万円程度の和解金と交換ソフトの利用中止の制約で和解している。また、2004年に米国映画協会MPAAが映画のファイル交換をしている個人に対して、映画一本当たり3万ドル、意図的な侵害の場合は15万ドル程度の提訴を行っている。
アメリカでは著作権侵害に対して黙っているような権利者はいない。もし、大手エンタティンメント企業(協会)に提訴されるようなことがあれば、個人で裁判に勝つのはほぼ不可能に近いので、訴えられた人間は和解金を払う以外選択肢はない。
日本でも2005年にレコード会社5社が初めてネット上のファイルユーザー5人に対して著作権侵害を指摘した。この時は平均48万円の損害賠償金を支払うことで和解したが、今回のように非親告で告訴され、それが前例となるケースも出て来た。
突然300万(アメリカの場合だが)の請求(民事訴訟)が来るのと、逮捕されるのではどちらがいいか(当然、どちらも嫌に決まってるが)。
司法は時代に対し超然としていなければならないのと同時に、その時代が醸し出す「空気」に敏感でもなければならない。では、今回の事件に見られる「空気」の発生源はどこなのであろうか?
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