第7回東京国際アニメフェア⑰〜アニメアワード関連/まるで東洋のピクサー、驚きの公募作品部門大賞
発表された作品の中から選ぶノミネート部門と並んで設定されているのが応募作品部門である。毎年世界中から作品が送られてくるが、昨年あたりから特にその傾向が強まり今年の受賞作品のほとんどは海外からのものであった。
国籍も多彩で台湾、ポーランド、イラン、韓国、フランスという世界各地の才能が集まっている。そんな作品の中でも今回圧倒的に優れていたのはグランプリを獲得した台湾の『Adventures in the NPM』であった。
これほど良質の3Dアニメが台湾から出現するとは失礼ながら正直驚いた。本作品はその発想、クオリティから見ても東洋のピクサーと言っても過言ではない出来栄えで、12分という長さながら世界に通用するレベルのものとなっている。
舞台は台湾の故宮博物館。夜になるとそこに展示されている唐子や麒麟が動き出すというのは『ナイト ミュージアム』に通じる設定であるが、中国の文物のキャラクターというその目の付け所に感心した。
3Dアニメの場合、キャラクターの設定が非常に難しい。本文149で『ベオウルフ』について述べたが、人間をリアルに描くのは「無気味の谷」の指摘通り現状難しいのは確かだ。そのため、ハリウッドの3Dアニメを見てもわかるようにキャラクターのほとんどが動物、モンスター、メカ・ロボットといったものである。しかし、正直言ってそういったキャラクターにもそろそろ食傷気味である。
その点、この『Adventures in the NPM』でのキャラクター設定は秀逸であった。日本人に馴染みの深い唐子のせいもあるがキッズ・ファミリータイプのアニメには打ってつけのキャラクターで、世界的にも十分通用するキュートさである。
この作品は台湾故宮博物館の展示映像とのことである。従って、最初から文物のキャラクター化が必須条件であったのか、それとも制作サイドがそれを言い出したのか定かではないが目的に適った映像となっているのは確かだ。
この作品、おそらく応募作の中ではずば抜けた予算で製作されているであろう。つくったのは台湾のCG製作企業でこの作品を長編にして劇場アニメとして上映したいと考えているようだが、そうなったら是非劇場で見てみたい作品である。今後上映会等で見る機会があるかも知れないのでその時は是非一見して欲しい。
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