境真良『テレビ進化論 映像ビジネス覇権のゆくえ』(講談社現代新書720円+税)10〜凄いとしか言い様がないシンプソンズの制作現場
「発掘!あるある大事典Ⅱ」とは余りに対照的なニュースが最近驚あった。それは『ザ・シンプソンズ』の主要キャスト(声優)に関するギャラの話である。米国のメディア各社の報道によると、米国のテレビアニメ『ザ・シンプソンズ』の主要キャストら6人は、第20シーズンからの出演契約について、20世紀フォックスと1人1話につき最大40万ドル(約4,200万円)!!!の4年契約を結んだということである。
40万ドルという一番高いギャラはどうやら主人公ホーマー役のDan Castellanetaだけのようである(以下wikiの受け売り)。この人1957年生まれの声優、俳優&コメディアンである。主なキャリアが『ザ・シンプソンズ』なのでこの番組で現在の位置を築いたと言ってもいいだろう。
で、この人のギャラ歴(アメリカはこういったお金のことについて実にハッキリ書いてある)を見ると番組スタート(1989年)から98年までの10年間、番組1本につき30,000ドルが支払われていたそうである。400,000万ドルから比べるとずいぶん少なく見えるが300万円以上であるが、これだけで日本のアニメ1話分の音響(声優、音効、MAの各コストと全体のディレクションフィー)予算を遙かに上回る。
もしCastellanetaが年間50作に出演するとしたら年収20億以上である。日本でこれほどの年収のある声優はもちろんいないが(俳優でもいないだろう)、アメリカのトップケースであるとはいえ彼我の違いは余りにも大きい。蛇足であるが、プレスコに一回3時間かかるとしたら時給1,300〜1,400万円であり、それだけで日本のアニメなら1本つくれる(この人のギャラだけで年間3タイトルのシリーズを回せる)。
ただし、誤解なきよう書いて置くが『ザ・シンプソンズ』の場合はあくまでネットワークという最高のレベルでのケースであり、これがシンジュケーションや日本のアニメの吹き替えとなると極端にギャラが下がるが(ユニオンのメンバーを嫌ってカナダの声優などをつかったりする)、それであっても日本の声優より高いと思われる(直接支払いに関係したことはないのでわからないが、過去の経験、聞いた話を総合するとそうなる)。
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