2Dアニメと3Dアニメのはざまで〜『スカイ・クロラ』に対する若干の補足4
3Dキャラクターアニメーションと呼ばれる<秘術>
一切CGをつかわなかった『崖の上のポニョ』に対し、ギリギリと思えるレベルまでそれを駆使した『スカイ・クロラ』。実に対照的と思えるアプローチであるが、今作が最後と思われる宮崎監督にとってどのような切迫感があったのだろうか。とにかく今後も撮り続ける押井監督には前進しかない。
その押井監督が2Dアニメと3Dアニメの現状から帰納的に導き出したのがキャラクターの3D化である。それを押井監督は次のような言葉で表現している。
「セルアニメという成熟した共同体を離れて、CGIという未開の地に踏み込むしかない−わけても 3Dキャラクターアニメーションと呼ばれる<秘術> を習得するしかないのだ、という覚悟は当然の帰結でなければなりません」
日本のアニメの第一人者であり論理的なアニメづくりを以て知られるこの押井監督の言葉は限りなく重い。日本のアニメ制作に関わるものが意識の下に押し留めていた問題に対し遂に口火を切ったのである。
『イノセンス』の時、押井監督には3Dアニメの構想は微塵もなかった。わずか4年の間に起こったアニメーターの払底。「まさか僕が生きているうちにそうなるとは思わなかった」というアニメ(制作)の落日。それは押井監督をして3Dアニメに向かわせるのに十分な変化であったようだ。
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