アニメと音楽のビジネス関係(5)〜ディズニー音楽の盛衰
『白雪姫』をきっかけに短編から長編へと舞台を移しライバルに圧倒的な差を付けたディズニーは音楽においてはもはや独壇場であった。劇場長編アニメーションから生み出される『ハイ・ホー』『星に願いを』などの楽曲は永遠のスタンダードナンバーとなる。
音楽はディズニーの重要なビジネスのひとつとなった。『白雪姫』で世界初のサウンドトラック盤が発売されたという事実を見てもそれは理解できる(その割には初期の重要楽曲の音楽出版権を手放していたという信じ難い事実があるのだが)。
だが、この劇場アニメからヒット曲が生まれるという伝統はいったんディズニーの死によって途絶えてしまった。それが1980年代末の『リトル・マーメイド』からはじまるディズニーアニメの大復活によって『ビューティ・アンド・ビースト』『ホール・ニュー・ワールド』など次々とヒット曲が登場するようになるのである(しかし、『ライオンキング』以降ディズニー音楽は再び下降する。原因はディズニー本体の2Dアニメが不調になったのと、上昇気流に乗ったピクサーが思いっきり地味なランディ・ニューマンを音楽に起用したからであろう)。
さて振り返り見て我が日本であるが、東洋のディズニーを目指した東映動画がディズニーの音楽ビジネスを学んだかどうかはわからないが、初期の劇場アニメの展開を見ているとそのような動きは見られなかった。このへんは東映動画の特性というよりプレスコとアフレコの違いに見られるように音楽に対する考え方が基本的に異なっているためではないかと思われる。それもあってか、残念ながら東映動画から歴史に残るメロディーが生まれたとは言い難い。
東映動画作品では、「わんぱく王子の大蛇退治」の伊福部昭の音楽や、「太陽の王子ホルスの大冒険」の間宮芳生、「長靴をはいた猫」の宇野誠一郎など、記憶に残る音楽が多数あったにもかかわらず、レコード化されていなかっただけに思えます。
投稿情報: a.sue | 2008/10/12 01:07
コメント有り難うございます。
東映動画の劇場アニメはほぼリアルタイムで見ていますが残念ながら余り記憶に残っている音楽はありません。唯一口をついて出る歌は山東昭子が唄っていた『西遊記』の「俺は孫悟空」くらいでしょうか。まあ、子どもだったのでわかりやすい音楽でないとダメだったのだと思います。その点、テレビアニメの主題歌はどれもキャッチー(わかりやすい)だったので記憶に刻み込まれました。今でも結構CDが売れているので、やはりアニメにおける音楽ビジネスはアトム以降からになると思う次第です。
投稿情報: 増田 | 2008/10/12 18:19