手塚治虫の天賦の才を支えた資質③〈記憶力〉その2
フォトグラフィック・メモリー
「フォトグラフィック・メモリー」とは見たものを写真のように記憶するという能力である。映画『レインマン』を見た方ならわかると思うが、ダスティ・ホフマンが演じたレイモンドが「フォトグラフィック・メモリー」の持ち主なのだ。
抜群の記憶力を誇るレイモンドは、キム・ピークというフォトグラフィック・メモリーの持ち主がモデルとされているが、キムはサヴァン症候群という脳に重度の障害を持って生まれたにもかかわらず、辞書をはじめとし一万冊前後のあらゆる分野の書籍の内容を記憶でき、書かれてある内容を瞬時にして記憶から引き出すことができる。
アメリカの幹線道路を空で言えるばかりではなく、すべての都市の市外局番,郵便番号,その都市をカバーするテレビ局や電話会社名も記憶している。ある年月日を言えば、たちどころにそれが何曜日だったか教えてくれる。また、どんなに古い曲の題名も言い当てられる。しかも作曲された年月日、初演日、作曲者の生誕地に誕生日、死亡した日まで知っている。
フォトグラフィック・メモリーの持ち主として歴史上有名なのはアメリカ大統領のリンカーン、音楽家のモーツアルト、画家のクロード・モネなどであるが、近年ではビル・ゲイツに次いで世界で二番目の資産家として名を馳せたウォーレン・バフエットが知られている。
投資家として有名なバフエットは、「都市の名前を片っ端から声を出して読み上げれば、必ず正確な人口数が彼の口から出てきた。野球のスコアでも、競馬の予想でも、数字に関係していればいつも同じ具合だった」(『バフエット』牧野洋/日本経済新聞社)という記憶力の持ち主で、それが投資においても非常に大きなアドバンテージになったことと思われる。
コメント