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物語伝達の最適メディア化②
人間は「物語」を必要とする存在
「人が〈物語〉を欲するのは〈物語〉を通じて自分を取り囲む〈世界〉を理解するモデル」と『物語消費論』(角川oneテーマ)で大塚英志が語っているように人間は物語なしに世界を理解し得ない。そのため、マンガに映画や小説並みのストーリー性を付加した手塚マンガは世界理解のために物語を必要とする人間のニーズに大いにマッチした。
世界理解のための物語というこのモデルは世界共通で、〈例えば「History」という文字は元来ギリシア語だが、スペルを見てもわかるように「story」が語源であり、最初のうちは全く同じ意味で使われていた。「History」は「語源的にいえば、『見る』『知る』『調べる』ということであるから、元来は、自分が見聞したことを物語るということであったのだろう。つまり、歴史は物語なのである〉(『言葉の発見』渡部昇一/中央公論社)というように、物語は自分を取り囲む社会や国家を理解するための有力なツールであり、それによって人間は自分自身の存在を確認するのである。
このように手塚のストーリーマンガは物語を必要とする人間の心性を大きく刺激したのである。
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