第二部手塚治虫とアニメ
今回からは「マンガの神様」である手塚治虫なぜ「アニメの神様」でもあるのかについて言及したい。
1 日本のアニメの現状
1−1 右肩上がりの産業
日本のアニメ産業は日本初の長編商業アニメ『白蛇伝』(1958年)以来、バブル崩壊の影響も受けず深刻な不況を一度も体験したことがない。日本初のアニメ番組『鉄腕アトム』が放映された1963年、年間わずか6タイトルであったTVアニメはその後ずっと増え続け、加熱気味であった前年よも幾分減ったものの2007年には237タイトル(番組として独立したショートアニメも含む)にもなっている。
特に、ここ10年余りで新番組の製作数がほぼ3倍となっておりその増加振りには目を見張るものがある。これは、1990年代半ばから2000年にかけて『エヴァンゲリオン』『ポケモン』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』といった作品が次々とメガヒットしたこと、深夜枠やCS専門チャンネルといったメディアの増加、製作委員会方式の浸透といった要素が重なったためであるが、音楽、コミックなど他のエンタティンメント産業が軒並み減少、或いは伸び悩んでいる状況の中でアニメの好調ぶりを印象的である。
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