〈手塚治虫とアニメ〉アニメの繁栄を築いた手塚治虫
手塚治虫以降のアニメ9〜空前のヒットとなったアトム
ところが、子どもたちの反応は違った。たとえ「紙芝居アニメ」であっても十分熱狂するに値したのである。月に一度雑誌でしか見られなかったアトムが週一度、しかも動いている姿を見ることができる。それだけでも子どもにとっては誠に幸福な出来事であったのである(私もその一人だった)。
子どもたちの熱狂的な支持によってアトムは平均視聴率37.4%、最高視聴率は40.3%に達する大ヒット番組となりポケモンブームのように一種の社会現象にまでなった。そしてキャラクター玩具や食品は飛ぶように売れ莫大な商品化権収入を得ることになった。
この商品化権収入によるビジネスモデルは古くは「フェリックス」の時代からあり、ディズニーによって確立されたものであるが、日本では戦前に大ヒットした「のらくろ」がその嚆矢であり、アトムによってほぼ完成型となった。
アトムの場合、4年間で5億円のロイヤルティ売上というものであったが、これは商品化権ビジネスがなかった時代においては驚異的な成功であり、製作費の不足(ただし製作費は途中で実費近くまで引き上げられた)を補って余りあるものがあった。
このアトムの成功をさらに後押ししたのがアメリカでのオンエアーである。驚くべきことにこの日本流のリミテッド・アニメがアメリカに売れたのである。買い手はアメリカの三大ネットワークNBC(ただし、実際に放映されたのはシンジュケーション・ネットワーク)。
価格は1話1万ドルであったが、その当時為替相場は1ドルの360円に固定されていた時代であるから現在に直すと1話1,500万円前後になろうか。今と比べても破格の販売価格である。このように順風満帆のスタートを切ったアトムが日本のアニメブームに火を点けるのである。
はじめまして、海外に住んでる身ですが、いつも楽しくて読んでいます。
とてもすばらしい文章ですが、少しだけミスを指摘させていただきます。第3段の「フェリックス」と「のらくろ」は誤って
>「」フェリックス
>「」のらくろ
になってしまったようです。
投稿情報: kaito2198 | 2009/06/09 12:46
ご指摘有り難うございます。
助かります。
アホな間違いでした。
投稿情報: 増田弘道 | 2009/06/09 12:59