『ラーメン屋vs.マクドナルド』(竹中正治/新潮選書680円税別)2
求められるプロデューサー像
日本がなぜ映画ではなくマンガ、アニメ、ゲームソフトなどに強いかについて著者はこう語っている。
「巨額の資本を要する映画、特に米国では、市場の最大公約数の需要を獲得して売上を伸ばすビッグ・ビジネス・モデルが支配的になった。一方、漫画、アニメ、ゲームソフトの分野では必要となる資本が小さく、日本の「(こだわりの)ラーメン屋的供給構造」に適しているので、職人たちのニッチな創作が可能になる」
確かに、アニメの制作サイドを支えているのは職人気質である。そのこだわりなしに日本のアニメは成立し得ない。一方、本来それらの制作現場を支えるはずのプロデュースサイドに対して次のような苦言も呈している。
「(日本のアニメ、漫画コンテンツを)正解市場に配給して利益を最大化させるビジネス・マネジメントが弱い。あるいはそうしたことができるプロデューサーが相対的に乏しい、と言うことができるだろう」
誠に耳の痛い言葉であるが認めざるを得ないのが現状であろう。人口減による国内市場の収縮が予見される中、グローバルな市場で利益を最大化できるプロデューサーこそ今一番求められているのは間違いない。
「第5章 一神教とvs.アニミズム」でもポケモンなどアニメが多く引き合いに出されている。コンテンツにおける日米文化の差異を考える上で参考になる本である。
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