『封印作品の闇』(安藤健二/大和書房文庫/800円税別)
著作権の勉強本〜キャンディキャンディの場合
作者の安藤健二氏は産経新聞出身のフリージャーナリストであり、一連の封印、お蔵入り作人について書き続けているが、その多くが著作権問題に関わっているので勉強になる。
最初に見たのが『封印作品の憂鬱』であったが、面白かったので『封印作品の謎』(大和書房文庫/800円税別)、『封印作品の闇』(大和書房文庫/800円税別)、『封印されたミッキーマウス』(洋泉社/1,300円税別)取り寄せて読んでみた。
まず、『封印作品の謎』であるが、ここで取り上げられている「ウルトラセブン」「怪奇大作戦」「ノストラダムスの大予言」「ブラックジャック」「O-157呼ぼうゲーム」はほぼ差別的表現などに関する問題のものであった。これはこれで勉強になるのが、次の『封印作品の闇』で長年知りたいと思っていた「キャンディキャンディ」の事例に出会えたのは大きな収穫であった。
これは大人気マンガであった「キャンディキャンディ」が何故封印作品となったのか、その原因について追ったものである。なぜ原作者とマンガ家が確執することとなり係争という事態にまで至ったのか。
業界では広く知られたこの事件は一旦調和が乱れた場合の共同著作物の難しさを語っている。藤子・F・不二雄と藤子不二雄Aの様な実にさっぱりした切り分けは例外中の例外で、共同著作者が袂を分かつ時には大概問題が起きる。
「」キャンディキャンディの場合、結論からいうとマンガ家のいがらし氏に問題があったように見受けられる。例え、いがらし氏主導でマンガがつくられたとしても共同著作物として認定される限り自分だけで作品は動かせない。
あるいは松本零士氏のようにすっかり自分がつくったものと思いこんでいるのかも知れないが、それにしても手続きが乱暴のようである。このケース、是非読まれることをお勧めする。
また『オバケのQ太郎』が封印作品となっていたこともこの本で知った。そして、藤子不二雄コンビ解消の原因もこの本を読めば当人同士の問題でなかったとが推察出来るであろう。
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