アニメアワード功労賞2
笹川ひろし 小松原一男 小林七郎 高井達雄 大野松雄 八奈見乗児
笹川ひろしさんは映画のヤッターマンも大ヒットしておりタイムリーな受賞であった。以前本で読んだのであるが、笹川さんは手塚治虫の最初のアシスタントであったそうで授賞式の時そのお話をされていた。その頃手塚宅は初台あったそうであるが、つまり笹川さんはマンガ家志望であったということだ。一度マンガ家としてデビューしたあとアトムの絵コンテでアニメの魅力に取りつかれたとのことである。それにしても笹川さんもお元気なのでびっくりした。小柄ということもあるがとても70歳を過ぎたとは思えない若々しさであった。
故小松原一男はアニメーターとしての王道を歩んだ人間であろう。東映動画発のテレビアニメ『狼少年ケン』『おそ松くん』『タイガーマスク』『デビルマン』『ゲッターロボ』『キャプテンハーロック』『銀河鉄道999』『風の谷のナウシカ』『はれときどきぶた』『メトロポリス』など常にアニメの中心に位置し続けた。2000年に56歳で亡くなったがトップスピード駆け抜けたアニメーター人生であった。授賞式にはOH!プロダクションの並木氏が代わりに受賞したが、足元を見るといつものように下駄であった。
小林七郎さんは今年76歳になられるが未だにバリバリの現役である。昨年も『隠の王』『野だめカンタービレ』などを手がけている。美術の人は画家に近いので職業寿命が長いと思われるが、それにしても凄い。日本の現役アニメ人の最高齢ではないだろうか。当日は元気に登壇されたが是非このまま現役を続けて頂きたいものである。
「国民的アニメソング」である『鉄腕アトム』の作曲者である高井達雄さんであるが、ご本人が言っていた通り実は手がけたアニメ作品は少ない。アトム以前に『ある街角の物語』、以後に『柔道賛歌』がある程度だ。それでも受賞となったのはアトムという存在が如何に大きいかということであろう。その伝で行くならば谷川俊太郎も候補ではないだろうか。アトムの他に『ビッグX』の作詞も担当している。高井さんも若かった。小林さんと一歳しか違わないがジッ年齢より十数歳お若いという印象を受けた。
大野松雄さんも手がけた音響はアトムだけなので「アトム組」と言えるであろう。そして、何よりも大野さんを印象づけているのはアトムが歩くときの「ピコッピコッ」といった電子音でつくった効果音であろう。当時は不思議とも思わなかったがシンセもない時代にどうやってあのような音を出していたのであろうか。アトム以降は『惑星大戦争』(1977年)などの音響を手がけ、その後博覧会等の音響デザイナーとなったそうである。今回の受賞者の最年長、79歳であった。
最後は八奈見乗児さんである。八奈見さんは第2回目から候補に挙がっていた記憶があるが晴れて今回の受賞となった。もう語るまでもない実績を誇る声優界の大長老であろう。おっと、長老と言ってしまったが八奈見さんも現役中の現役である。鬼太郎にもヤッターマンにも登場していた。日本の声優の在り方の頂点を行く御仁である。是非永世声優となって頂きたいものである。
功労賞、来年度はさらに世代が下ってくるはずである。現役バリバリの方も増えるであろう。どなたにお会いできるか楽しみである。
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