『アニメ文化外交』(櫻井孝昌/ちくま新書760円税別)
もっと自覚すべき海外での反応
昨年ドラえもんが「アニメ文化大使」になったとは聞いていたが、本書にあるような「外交」が展開されているとは全然知らなかった。そのため読んでみると初見のことばかり。この種の情報が真っ先に入る動画協会の中でもほとんど話題になってなかったので、おそらくアニメ製作の当事者たちもほとんど知らないのではないのだろうか。こんないい話があるなら是非製作・制作者たちに知らせて欲しいものである。
著者が「アニメ文化外交」の講師として回った国は11カ国15都市。それもミャンマーのヤンゴン、サウジアラビアのリヤド、チェコのプラハ、イタリアのボローニャ、スペインのバルセロナ、ベトナムのホーチミン、カンボジアのプノンペン、ラオスのビエンチャン、ドイツのデュッセルドルフ、フランクフルトといった都市である。
決してパリ、ロンドン、ニューヨークといった大都市ではない。日本のアニメが届いているのかどうかも定かではない。しかしながら、筆者が訪れたどの都市でも熱狂的に受け入れられたという。驚くほど多くの若者たちが日本のアニメを支持していることを筆者は肌で感じたのである。
このように日本のアニメが文字通り世界中で人気があるのは間違いない事実である。最近動画協会で行われた調査でも100ヶ国以上で放映されている作品があることがわかった(国連加盟国(192カ国)の実に2/3に相当する国で放映されていた)。著者が再三述べているように日本人はこのことにもっと自覚的であったもよいであろう。
このことを考えると、最近しばしば耳にする日本のアニメの人気が落ちているというのは事実ではないことがわかる。ではなぜそのような風評が流れるのであろうか。
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