中国アニメ製作事情
今回の中国訪問で中国アニメの実情がおぼろげであるがわかりかけてきたが、この辺でまとめの意味も込めて中国アニメ製作の実情について思うところ述べてみたい。
まず、いきなりリアルな話になると、日本のアニメ産業としておそらくビジネス面で興味があるのは中国のアニメが一体幾らくらいでつくられているかという製作事情であろう。実はこれに関連し今回の訪問で中国のアニメ制作費は30分番組で200万円程度の補助金が出ているのではないかという推測が経産省からなされた。そこで、この政府補助金を参考にアニメ制作費について考えて見たい。
まず、最初の手がかりとなるのが遠藤誉氏の『中国動漫新人類』に出てくる製作会社の人間が言ったといわれる制作費800万元(1億2千万円)という金額である。これはもちろんシリーズ総製作費と推測されるが、おそらく1年4クール50話前後の金額であると思われる。
そこで、仮に1億2千万円を50話で割ると1話240万円になる。また、こちらは中国のアニメ関係者と交流のある知人から聞いた話は放送で得られる収入は実行制作費の1/10程度であるということである。CCTVで放映権料が1分600元=9,000円なので、番組が日本平均の正味24分なら1話当たりの放映権料は216,000円となる。そしてこれを10倍すると216万円となる。
以上のデータを整理すると、どうも中国では1話200万円前後でもアニメを制作できることが推測されるのである(但し、この予算で収まらないという話も聞いた。日本ほど標準化されていないと思われるのでバラツキが大きいかも知れない)。
しかしながら、この制作費は日本とくらべて5〜7分の1の価格である。幾ら物価が安いとは言えインフレ基調にある中国で果たしてこの予算で制作できるのか。多分その答えは以下の理由に収斂されるであろう。
1)子ども向けアニメが主流(日本でも子ども向けの方が制作費が安い)
2)熟練者が少ない(賃金が低い)
3)3Dアニメが多い(2Dアニメに比べ生産性が高い)
4)企画を含むプロデュースコストが安価(こちらは推測であるが。要するに管理費が低い)
以上の要素を考えると制作できるレベルの予算設定であると思われるが、これは今後の日本のアニメ産業にも関係してくることなので調査を続けていきたいと考えている。
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