『ピクサー流マネジメント術』その1
エド・キャットムル著/小西未来訳・解説
(09年7月/ランダムハウス講談社/税別1,500円)
ピクサー創業者の著
ウォルト・ディズニーが存命であれば必ず一番先に3Dアニメに取り組んでいたであろう。その意味でもピクサーはディズニーのDNAを一番受け継いでいるのは間違いない。
そのピクサーの中で一番有名なのはもちろんジョン・ラセターであるが、創業したのは著者のキャットムルである。目立つ存在ではないが、ピクサーだけではなくディズニー・アニメーション・スタジオの社長も兼ねている。
キャットムル氏の出自はコンピュータ科学者とあるが、見たところオタク的なマッド感はない。また、ハリウッドにありがちなコテコテのプロデューサータイプにも見えない。写真を見る限り何だか人の良さそうな感じである。バランスの取れた人格者の様に見える。
ところでこの本、キャットムルが『ハーバード・ビジネス・レビュー誌』に寄稿した文章でそれ自体それほど長いものではない。そういった事情もあって後半は翻訳者の小西氏の解説となっている(その意味でこの価格はちょっと高い)。
また、原題は『ART OF PIXER STYLE MANAGEMENT』であり、企業としてのピクサーの(経営)マネージメントについて書かれているわけではない。書かれてあるのは主にピクサーのクリエイティブ(組織)のマネージメントスタイルがどのようになっているかについてである。従って経営的な数字などはほぼ皆無である。
しかしながら、ピクサーの成功の秘密を知るヒントは十分に伺い知ることが出来た。次回からそれについて解説して行きたいと思う。
ポーランドで日本語指導の傍ら、日本のポップカルチャーの紹介をしています。
投稿情報: 水尾 芳正 | 2010/03/02 07:21