『ディズニーを支えた技術』
J・P・テロッテ著/堀千恵子訳
(09年9月/日経BP社/税別2,400円)
タイトルに引かれて一も二もなくアマゾンでクリックした。著者はジョージア工科大学の教授である。間違いなく常にエンタティンメント界における技術革新をリードしてきたディズニーの秘密を知ることが出来ると思っていた。
ところが・・・・
著者は理系の学者ではなく専門は「文学・コミュニケーション・文化部映画・メディア研究教授」であった。従って技術的な解説はほとんどなし。原題の『THE MOUSE MACHINE』がなぜ『ディズニーを支えた技術』になるのであろうか。さらに、この肝心の「マウス・マシーン」がどういう意味であるのか結局最後までわからない。
文章を読みはじめると、幾つか未見のデータはあるもののほとんど既知のことばかりである。「だからどうしたんだ?」と思わず突っこみたくなる。「映画の限界を押し広げてきたディズニー」といった見出しがあるが、そんな当たり前のことを述べてどうしようと言うのか。
要するにこの本は技術面を少し詳しく解説しただけのありきたりのディズニー本である。随所にもっともらしい解説があるのだが、それがまた意味がよくわからず説得力に欠ける。これではなぜディズニーが小さなアニメーションスタジオからメジャーの一角になったのかわからないであろう。悪口は余り書きたくないが、2,400円(と消費税)も払ったのでこれ位言ってもいいだろう。
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