『未来創造』
松本零士/09年9月/角川ONEテーマ21/724円(税別)
松本先生なので買ってみたが氏の創作の秘密が伺える本であった。西崎さんとの『宇宙戦艦ヤマト』原作権争い、槇原敬之との『銀河鉄道999』裁判の経緯を見ていて、かなり「行っちゃってる人」だと思っていたが(マッドハウス時代に『SPACE PIRATE CAPTAIN HERLOCK』のファイナンス担当をやっていた時に、かの「ダビデの星」問題に遭遇したこともあるので余計そう思うのですが)、この本を読んで少し印象が変わった。
大変な勉強家であり博識である。1938年生まれなので今年72歳、石ノ森章太郎と生年月日が一緒とのこと。60歳で亡くなった石ノ森章太郎は最後まで締め切りの追われる人生であったが、松本先生の場合、主要な仕事は1970年代で終わっており、それ以降仕事を選んで来たので多分長生きできたのではないか。誰にも止められないと思うが、著作権がらみの訴訟は晩節を汚す可能性が高いのでもうお止めになった方が宜しいかと。
『アニメ作品事典―解説・原作データ付き』
スティングレイ・日外アソシエーツ共編
09年7月/13,800円(税別)
日外アソシエーツ発行
紀伊國屋書店発売
2009年までにアニメタイトルのデータを収録した事典。収録点数は6,400本とあるがタイトルのことであろう(数えていないのでわからないが)。映画、テレビ、OVA全部揃っている。大変な労作であるが、今後はもっと詳細なデータベースが必要になって来るであろう。
これからの時代、ネットに存在しないものは世の中に存在しないと見なされるであろう。だから、アニメにおいてもどれだけのデジタルデータをネット上に提示できるかが勝負であろう。動画協会でデータベースワーキングという分科会があり、そこの座長を務めているのであるが、その目的はまさにそれなのである。時間もかかるしお金もかかる大変な作業であるが何とか完成させたい。誰かお金くれるアニメ好きの篤志家の方いませんか(笑)。
それと、ここだけの話ですが本書の『宇宙戦艦ヤマト』にある原作の項目には西崎さんだけでいい。ストーリーやキャラクターの概要が決まってから参加してきた人間が、例え色々なアイデアを出し結果的に監督になったとしても原作者にはなれない。もし、それが認められるならサザエさんやドラえもんはどうなるのか、という話である。
>ストーリーやキャラクターの概要が決まってから参加してきた人間が
あの時点では決まってないし
投稿情報: DSK | 2010/10/21 21:15