東映アニメーションなどなど
前回書いたことへの質問が来ているのでお話ししたいと思います。
東映アニメーションの制作システムが他のスタジオと違っていると言われている根本の所にはスタートの時に実写の例に倣ったことが大きいと思います。監督を演出、また映像だけではなく音楽まで演出するというスタイルは東映映画、というより実写のスタイルから来るものです。現在のように音響監督に丸投げするというスタイルになったかについては次の本に書いてあります(笑)。
制作に関しては大体どこも同じだと思います。制作進行→制作デスク→制作(ラインプロデューサー)→製作委員会プロデューサー(メーカー、製作会社)→局付きプロデューサー→エグゼクティブプロデューサーといった感じでしょうか。東映アニメーションは日本で数少ないセルフファイナンス企業なので局付き以外は全て自社人員です。
作画以降の工程についてはこれはこれで沢山あります。また音響の中の音効については基本実写と同じですが、創業者の出自(アニメスタジオ出身)によって自ずから会社の色分けが出来てきます。アニメ専門という音響会社は結構ありますがアニメスタジオの出身の人が多いです。どうしても専門化して行くのではないかと思います。
流通に関してはメーカーもそうですが製作委員会に出資している企業から玩具、グッズ関係まで行きたいと思ってますが行けるかどうか・・・。primasteaの中川さんについては知りませんでした。教えて頂いて有り難う御座います。アニメスタジオといった既存のルートだけではなく色々なところからクリエーターやプロデューサーがどんどん生まれて欲しいですね。
デジタルの恩恵によって一人でもアニメをつくれるようになり(分業が個人制作に戻った。「デジタルの力による生産性アップの先祖返り」でしょうか)生産性が上がったためです。その代表が新海さんですが、ただまだ商業路線に乗るほどの生産性はありません。逆に個人クリエーターから吉浦さんのようにスタジオをつくって生産性を上げる試みもあります。どの時代も(特にテレビ時代になってから)クオリティと生産性はアニメビジネスに取って常に最重要課題です。
職業本も需要があるかないかはわかりませんがアニメビジネスがわかるよりは売れるのではないかと密かに期待しています。アニメビジネスもおかげさまでそこそこ(ちょぼちょぼかな)売れましたが多分時給計算するとマクドナルドのアルバイトの半分も行ってないと思います(03年頃から書きはじめて本が出たのが07年)。効率性を説く割りには非常に非効率(笑)。
アニメもそうですが本来クリエイティブ系のコンテンツづくりは効率性と相容れないと思います。創作には豊富な時間が確保されないとつくれませんが、ビジネスでは限られた時間の中での最大限の効率性が求められます。この辺がコンテンツ、エンタテイメントビジネスの難しさだと思います。「よくそこまでやるね」と言われるくらいでないと認められませんが、そこまでやっても認められるかどうかの保証はありません。割が合わない因果な商売といえばその通りですが、それを継続するために何とビジネス化しようとするのがプロデューサーや企業の役割ではないかと思います。
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