『もっとわかるアニメビジネス』解説〜第一章アニメーションとビジネス2
最初にアニメをはじめたのはマンガ家
アニメビジネスの歴史はアメリカ、そして日本へと連なる。もちろん、それ以外でも世界中でアニメーションはつくられている。ヨーロッパや東欧はもちろん、「アニメ大国」の中国は日本の三倍もの生産を誇っている。
しかしながら、それが果たして「アニメビジネス」と言えるのか?確かにお金が動いているのは事実である。だが、それ制作資金という一方的な流れでリターンがほとんどない。果たしてこれをビジネスと呼べるのか。既に投資の段階は過ぎているが何時までこのスキームが続くのだろうか。
そもそもビジネスモデルが存在しないので仕方がないが、フェアに見てもビジネスが存在するとは思えない。ということで中国をはずし、アニメビジネス発祥の地であるアメリカから日本へという歴史的経緯に沿って書いたのがこの第一章であった。それにしても、アメリカというのは何でビジネス(産業)化する国である。
産業化というのは量産化への対応である。ある一定の規模とならなければ産業とは言えない。アメリカは増大する需要に応えて早期に量産システムを組み立てたが、日本はそうならなかった。その差はどこにあるのか?産業化の視点がなく、すぐに技に走る日本人の職人的な国民性のためか。あるいはアメリカでは建国精神以来すり込まれているパイオニア精神の有無の差であろうか。はたまた、キリスト教圏における禁欲的プロティスタンティズムのような合理的な資本活動が根付いてないためか。
アメリカも日本も(フランスやそれ以外の国でも)、最初にアニメーションにのめり込んでいったのはマンガ家(Cartoonist)である。まあ、それはある意味当然のことであるが、日本ではマンガから身を起こし?アニメを産業とする様な人間はついぞ現れなかった。その証拠に、日本でマンガ家から実業家になった人はほとんどいない。
手塚治虫がいる、という声もあるだろうが、手塚の場合、経営者というより最後までマンガ家であった(クリエイティブの業績は偉大の一言であるが、経営者として虫プロを倒産させた責任は免れないであろう)。この辺りがアニメーターからスタジオ経営者としても大成功したウォルト・ディズニーと大きく異なる点ではないかと思う。
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