『もっとわかるアニメビジネス』解説〜第一章アニメーションとビジネス6
プロデューサーとクリエーターのパートナーシップ
アニメスタジオを設立するときプロデューサーとクリエーターがパートナーシップを結ぶのは一般的である。演出人材が少なかったアニメ草創期は別としても、1970年以降に誕生したスタジオは押し並べて両者がパートナーなるケースがほとんどある。それを社名にまで著しているのがプロダクションIGであろう。
両者のバランスがうまく取れていればいいが、それが崩れている場合、スタジオ経営的に問題が起きるケースが多い。
よくあるのは、人気クリエーターがトップになり、それをプロデューサー(あるいはマネージメントサイド)が押さえられないという事例である。実写の世界だと、中村(錦之助)プロ、勝プロ、三船プロ(現在も存続しているが)など。石原プロは「番頭」がしっかりしていたので現在でも十分力を持っている(石原裕次郎の器の大きさ故だったかも知れないが)。アニメの世界でもこのバランスが崩れることがよくある。
アニメ、実写を問わず、クリエイティブ出身がトップに立つとクオリティ維持のための出費が止まらなくなる傾向があるのは確かで、私見で言えば、最低49:51のバランスでマネージメントサイドが実験を握っていないと常に倒産の危険がある。クリエイティブを扱う企業に取ってこの辺が非常に難しい問題で、永遠の課題でもある。
『もっとわかるアニメビジネス』でも書いたが、その傾向が企業的に如実に出ているのが、同根のサンライズとマッドハウスである。ほとんど同じ条件の下から出発しながら様々な面で大きく異なるようになったのは、本質的にはクリエイティブとマネージメントの問題であろう。ただし、マッドハウスも日テレの傘下に入ったので、今後はサンライズが社是としていた「健全な経営」の道を歩むものと思われるが、反面あのダイナミックな制作ぶりは見られなくなるかも知れない。
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