『もっとわかるアニメビジネス』解説〜第一章アニメーションとビジネス15
60年体制が続く日本のアニメーション業界4
突然現れる音楽レーベル
前回のアニメスタジオの系譜で、現存する企業の多くが東映動画と60年代に生まれたプロダクションの血脈を受け継いでいることが分かった。アニメの場合、その制作スタイル故に、音楽のように既存の血を受け継がず忽然と業界シーンに登場することは難しいようだ。
音楽においては、エルビス・プレスリーを輩出したサンレコード、黒人レーベルの先駆けチェス・レコードやジャズのブルーノート、ブラックミュージックのアトランタ・レコードやスタックス・レコード、イギリスのヴァージン・レコードなど、業界との脈絡とは別に世の中に突然現れるインディーズレーベルが結構多い(カントリー&ウェスタンの影響が強いサンレコードやスタックスは除かれるが、チェス(ポーランド生まれのユダヤ人)、ブルーノート(ベルリン生まれのユダヤ人)、アトランタ(イスタンブール生まれのユダヤ人)といった都会派の経営は往々にして海外から帰化した人間がやっているのが面白い) 。
日本ならURCレコード、エレックレコード、最近ではエイベックスがそうであるが、アニメではこれらの音楽企業のように、業界とは無縁でゼロからスタートすることは極めて困難で、これはやはり制作スタイルの違いに拠るところが大きいからであろう。
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