〜第三章「海外におけるアニメビジネスの歴史」1
海外での日本のアニメビジネス1
スタートダッシュには成功したが・・・
第二章の「日本のアニメはどのようにビジネスしてきたか」については、前回までの論考の中に包摂されるので、第三章に行きたいと思う。
この章で述べたのは海外で日本のアニメビジネスがどのように展開してきたかということである。これに関しては、戦前はもちろん、『白蛇伝』までは海外ビジネスにおける実績はゼロであった。
『白蛇伝』で大川博の目論み通り「外貨」を獲得、テレビ時代になっても『鉄腕アトム』以下の虫プロ作品、『マッハGoGoGo』などがアメリカのシンジュケーションにピックアップされて望外のヒットとなり、海外展開の前途は洋々としたものであった。
しかしながら、それ以降の道が厳しかった。規制が強化されたアメリカにおいてはほぼ全滅状態。だが、そんな中アジアやアメリカでは知らない間に浸透しはじめていた。ところが、こうした状況を知っていたのはアニメを製作していた当事者くらいなもの。海外のアニメビジネスに興味を持つような人間はいなかった。マスコミも然り。何せ、つくっている当人達も実は海外での展開に関してほとんど興味を示さなかった。
日本のアニメビジネスとは即ちテレビアニメビジネスである。従って、テレビ局と波長、歩調を共にしてきたが、放送局自体が極端に内向けである。日本の広告費しか眼中にない。だから何よりも大切なのは視聴率。アニメもその顰みにならい一喜一憂してきたのである。国内市場だけでビジネス出来るのは、ある意味幸せなことであったが、こうした環境では海外ビジネスに対する興味もなかなか生まれないのは確かであろう。
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