第八章「アニメ企業研究 国内篇」5
やはり気になるジブリ2〜けいおん
それは『けいおん!』である。公開土日の初動を見ると3億1600万円で、怪物くんには及ばなかったものの堂々2位にランク。この初動数字で行くと20億円前後の興行収入になりそうな勢いである。
これはなかなかの事件である。どういうことかと言えば、ジブリやドラえもんなどの定番劇場アニメを除いて興行収入10億円の壁を突破することは至難の業であるからだ。この10億円というのはイノセンス10億円、スチームボーイ11.6億円ではからずも証明されたアニメファン向け作品の壁である。要するにジブリと定番劇場アニメ以外はその壁を突破出来ないというものである。
過去、それを突破出来たのは1970年台末からのヤマト&銀河鉄道シリーズ、あらしのよるに、劇場版エヴァンゲリオン、サマーウォーズ程度のものである。エヴァはまあ特別として、ここでけいおんの20億円(行ったとしたら)は燦然と輝く数字となる。
しかも、スクリーン数はたった137。コクリコ475スクリーン、イノセンス301スクリーン(エヴァは120)。劇場版エヴァ一作目とほぼ同じレベルであるから驚異のスクリーンアベレージである。
さらに、配給は松竹。東宝以外でかつこれほどの少ないスクリーン数での10億超えはヤマト&銀河鉄道シリーズ以降、エヴァとけいおんだけである。コクリコやイノセンス、スチームボーイにかけた汗とお金を思えば、けいおんは拍子抜けするほど肩に力が入っていない様に見える。これが興行の恐ろしさであり、かつ醍醐味なのでもあろう。
コメント