2011年アニメビジネス動向回顧6
【10大ニースNo.4:変わる業界地図2〜明確化する企業格差、加速する企業統合、新興勢力の台頭】
明確化する企業格差2〜好況企業
昨日『劇場版ベルセルク』を見てきた。なるほど、アクションはCG中心、その他はセルでつくられている。将に2Dと3Dの合体、日本アニメが目指す?2.5Dアニメであった。
ルーセント・ピクチャーズエンタテイメントの製作デビュー作品である。配給はワーナー。委員会の面子はルーセントの他は、バップ、白泉社、Byond C、KDDI、ムービック、Yahoo! Japan、グッドスマイルカンパニーといった顔ぶれ。
内容的には個人的に好きな「城攻め」からはじまっていたこともあり、なかなか面白かった。だが、三部作とはわかったいたが、あの終わり方はないだろう。まるでテレビシリーズだ。映画なのだから一本ずつキチンと落とし前を付けて欲しかった。次回作は6月公開とのこと。
以降、前回の続き。
前項で述べた東映アニメーションの決算状況は現在の業界事情を考えると一人勝ちと言ってもいいかも知れない。アニメ業界で上場している企業は少ないので経済状況を伺い知ることは難しいが、情報が公開されているプロダクションIGやトムスエンタテイメント(親会社のデータから推測して)を見ると東アニの躍進振りが一層浮き彫りになる。
東映アニメーション以外で「躍進」しているスタジオと考えるとどこか。残念ながら思い浮かばない。おそらく、最近のヒット作に見られるワンライン系(制作ライン)の企業に好況感はあるのだろうが、如何せん業界全体に影響を与えるほどではない(ただし、『劇場版けいおん!』の「大ヒット」は京都アニメーションに大きな経済効果をもたらすものと思われる)。
あとは、『もののけ島のナキ』の興業収入で合格点を出し、『ALWAYS 三丁目の夕日'64』が大ヒットしつつある白組、あるいは美術を本拠としながらCGを通じて制作に進出しつつある某社などであろうか。
そこで流通を含めたアニメ産業界全体を見渡すと、そこに登場するのはやはりアニプレックスである。パッケージ業界ではほとんどキングなどが健闘しているが、ほとんど一人勝ち状況である。
それに、忘れてはいけないのは何と言ってもブシロードであろうか(笑)。いや、ホントに画に描いたような躍進振りはブロッコリーの成長期を想い出させるものがある(社長、アニメ業界の活性化宜しくお願いします)。
もちろん、堅調な企業も多い。中でも話題の多いサンライズが一番であろうが、ぴえろ、OLMなどの動向を見ていると本来のプロパティを守りながら、意欲的に新しい作品に挑戦し続けている。余裕がある証拠なのであろうが、特にOLMは実写作品にも果敢にトライしている。アニメから実写へという道は今までほとんどなかったが、CGを媒介として実写とアニメの区別がなくなりつつあるのかも知れない(白組の場合もそうであるが)。
アニメ業界においては建設業界といった様な大きな企業間格差はないだろうが、時代に変わり目にあってその差は開いていくものと思われる。そして、そのキーワードはデジタルではないだろうか。
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