2011年アニメビジネス動向回顧5
【10大ニースNo.4:変わる業界地図1〜明確化する企業格差、加速する企業統合、新興勢力の台頭】
明確化する企業格差1〜東映アニメーション史上最高の決算
10大ニュースの四つ目としては「変わる業界地図」である。「明確化する企業格差、加速する企業統合、新興勢力の台頭」というサブタイトルを付けたが、様々な要素があるためこの項が一番のボリュームとなると思う。
ということで、まず述べたいのが明確化する企業格差である。まあ、端的に言えば要するに企業体力の差が開きつつあるということであるが、他の業界同様アニメ業界にもその気配が漂ってきたのではないかと思う。
その象徴が東映アニメーション。前期過去最高の266億円の売上を記録したが、今期も10月に入って上方修正し前期を大きく上回る290億円の決算となりそうなのであったのが、1月30日にさらに310億円の上方修正をした(ここ数年東映アニメーションは毎年上方修正を行っているが二度行うのは)。
東映はアニメ業界がピークを迎えた2006年に前年から大きく売上を伸ばした(166億円から216億円と130%アップ)。しかし、そこから2010年までの5年間、200億円〜210億円の間でほとんど売上数字が変動しなかった。他の企業の多くが(おそらく)売上減となっている状況を考えると立派なものであるが、硬直状況であったのは確か。
そんな状況を一変させたのが劇場版『ワンピース STRONG WORLD』であった。興行収入48億円というこの大ヒット作品は前年度210億円という売上を2011年に127%アップの266億円まで引っ張ったのである。
そして、その翌年である2011年にはワンピース STRONG WORLD』の様なヒットはエクストラと思ったためか、売上目標も前年度より低く設定されたにも拘わらず、さらに突破した。結局、東映は2年間で210億から310億と100億も伸ばし、2005年と比べると倍近い売上となったのだ。
このまま順調に売上が伸び、円高が更に進むとピクサーはともかくドリームワークスを抜くのも案外夢ではないかも知れない。
コメント