(さそうあきら/朝日新聞出版1,890円/2011年2月)
力の向けた、しかし的確なマンガ制作論
さそうあきらも精華大学で教えているとのこと。本書はその教育メソッドの一端が覗えるものが、ただしほとんど理論とは関係の無い実作のマンガで占められている。ということで、マンガ制作のための理論が活字ではなく手描きで書かれている。
従って、文字としての情報量はかなり少ない。だが、その方法論が的確である(マンガを描いたことがないので偉そうなことは言えないが、そう思える)。まず、凄いと思えるのは洞察力。マンガ制作のポイントを捉まえ、的確に指摘している。
その辺の語り口が実に淡々としており、柳沢きみおや六田登とは随分と印象が異なる。学生在学中にちばてつや大賞を受賞し、その後順調にキャリアを積み重ねてきた余裕もあるのかも知れないが、ひょっとして育ちがいいこともあるのでは。
精華大学で教えているマンガ家の著作を紹介してきたが、おそらく今後ここから多くのプロが輩出されていく気がする。韓流スターの多くが大学の演劇部や演劇科卒業という事実を見れば、日本でもマンガ学部・学科をもっと増やせば確実にマンガ家は育てられるのではないか(アニメもそうだが)。
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