(2013年4月/板越ジョージ/ディスカヴァー携書1,050円)
生き筋の2番目は、この際ファン向けアニメのビジネスモデルを確立することである。現状、日本においてこれ以上パッケージ増は望めず、海外では収益ならないのは事実であものの、人気が高いことは事実である。
おそらく世界的に見れば毎年ファンが増加しているはず。にもかかわらず、ほとんど収益化出来ないという、実に悩ましい問題に直面しているのだが、ここはひとつ踏ん張ってファン向けアニメを何とかマネタイズする方法を考えることが生き筋になるのではないかと思う。
国内ではゆるやかなパッケージ減現象、海外では放映できない、パッケージが売れない、グッズが売れないという三重苦状態にあるファン向けアニメであるが、この種のアニメを製作しているのは日本だけである。その意味で市場を独占しているのは確か。これをマネタイズ出来ないのは如何にももったいない話なのである。
といって得策がある訳ではない。それがあったら、とっくにやっているところであろう。これらからマネタイズ出来る収益ジャンルを作るしかないのであが、果たしてそれはイベントやライブエンタテイメントなのか。あるいは、ネットでのマネタイズか。しかし、後者については、かのディズニーでもなかなか大変そうである。
ディズニーは売上の半分が放送関連で、経営的に見ると今や放送局といってもよいほどである。そのディズニーのネット関連部署の売上はわずか2%。しかも赤字(ただし、コンテンツ配信の売上はスタジオの売上になっているはずなので、一概には判断出来ないが)。まだ、ネットではマネタイズ出来ないというのが彼らの見識なのかも知れない。
ネット市場が形成されてから参入しても、豊富なコンテンツを抱えるディズニーとしては十分間に合うと思っているのであろう。もっとも、彼らにはappleと縁戚関係にあるので自分たちでやらなくてもと思っているかも知れないが。
『結局、日本のアニメ、マンガは儲かっているのか?』は新書版166ページという枚数で1,050円といういささかお高い値段であるが、一読の価値はあるだろう。
(この項お終わり。次回は『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか』新潮選書の予定)
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