(2013年3月/白石さや/学術出版界/税別3,600円)
著者は1948年生まれ、国際基督教大学卒業後、コーネル大学でPh.Dを取得し、その後コーネル大学客員教授、京都文教大学人間学部教授を経て、現在は東京大学大学院教育学研究科教授。専門は文化人類学・教育人類学・アジア研究・文化研究。
全くの学術畑である著者がこの本を書くきっかけとなったのは、「一九九一年に炎天下のジャカルタの古本市場で『ドラえもん』の自作マンガを持った少年と出会っ」たこと。その少年はジャカルタのパサールの一角で鉛筆書きの『ドラえもん』を売ろうとしていたのだそうだ。
コミュケみたいな話だが、そのことに興味を持った著者が『ドラえもん』を追いかけはじめると、すでに世界各地で日本のマンガやアニメが活躍していることに気がつき、それ以来海外におけるマンガ・アニメの受容を研究テーマとするようになった。
ということで、20年以上海外におけるマンガ・アニメの在り方について研究しているので、豊富なデータに基づいたマンガ・アニメのグローバル化について述べられている。筆者の学術論文が基本になっているのであろうが文章は分かりやすいので海外でのマンガ・アニメの展開について知りたい人には打って付けの本であろう。
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