(2013年11月/岡田斗司夫/光文社新書税別777円)
面白くてためになる
すでに1年を振り返る時期になったが、今年はつくづくジブリの年であった。特に初夏以降ジブリの露出は圧倒的。『風立ちぬ』公開と宮崎駿引退宣言、『かぐや姫物語』の公開延期、『夢と狂気の王国』、そして『かぐや姫物語』公開と切れ目なく話題が続いた年であった。
ということで、ジブリ関連の本も充実しており、以降10冊ほど紹介する予定であるが、その最初の作品が本書である。これに関しては、アニメビジネスがわかる本257『アニメ研究入門』その2で作品・作家研究に対する必要な要素として下記の様なことを書いたがそれを全て満たしている。
この要件を兼ね備えているのは、岡田氏を含めそれほど多くないのではないか。また、対象に気兼ねせず評論出来るとなれば数名しかいないであろう。公開歯に衣を着せないという意味では、押井、宮崎、富野といったクリエーターが書いたものが圧倒的にパワーを持っているが、今や岡田氏もその域に近づいている
まあ、この本で圧倒的に面白いのは第3章の「父と子」におけるインサイダー情報?であろう。何せジブリとガイナックスは地続きなので筆者にも当然様々な情報が入ってくるはず。アニメ業界、特に現場は会社を跨いで仕事をする人間が多いので秘密保護法はまったく機能しておらず、ダダ漏れ、筒抜けに近い(笑)。
特に「父と子」の「何でも反対する男」のエピソードは抱腹絶倒(失礼)なので一見というより必見であろう。宮崎監督における情報性が十二分にあり、サービス精神満点、それでいて的確な論評である。
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