〈インドで考えたこと〉(5)スピリチャル大国
ハレクリシュナの白人ふたり組がインドに引き寄せられたのも、そこがスピリチャル大国であるからだろう。インド国民のヒンドー75%、ムスリム15%、残りがその他の宗教だと聞いたが、セミナーで通訳を務めた女性は「拝火教(ゾロアスター教)」とのことだった。
とにかく、神の存在は当たり前、普通にリインカネーションを信じているし、自ら伝統的戒律の中で生きている。おそらく、インド人はこうした生活を数千年も継続してきたのであろう。
よく中国四千年の歴史と言われるが、実は易姓革命の彼の国ではしばしば大きな断絶が見られる。近年においても辛亥革命、共産党政権の樹立、文化大革命などといった歴史的断層を形成する事件があり、そのため強制的な文化刷新や人的イノベーション(まあ、旧政権や反対者に対する粛正だったりするが)が起こるので、結構新しい国なのである。
その点、インドは古い。英国統治時代はあったが、本質的には精神性と戒律を重んじる文化的伝統は数千年前から変わってないのではないか。もちろん、それは尊重すべき文化ではあろうが、逆に皮肉なことではあるが、それが文明発展を妨げているのも事実であろう。カーストのような制度を掲げている限りダイナミックなイノベーションは望めないであろうし、その精神性ゆえに物質的発展が進まないのであろう。
まあ、何とも言えぬスピリチャルバイブレーションを持つインドは、競争に疲れた西欧人にとっては、おそらく非常に魅力的に映るはずだ。物質的繁栄や衛生観念を捨ててしまえばこの国は天国である。だから、ヒッピー文化志向の西欧人、そして日本人を引きつけるのである。
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