〈クールジャパンの評価2津堅信之〉
〜「日本のアニメは何がすごいのか 世界が惹かれた理由」〜
津堅さんのクールジャパン評価は中辛といったところか。まあ、この本に関しては、色々質問点があるので、それを並べてみたい。
アニメ史などを中心とする「アニメ学」はまだ確立されているとは言い難く、諸々摺り合わせが必要である。本来なら、津堅さんが教えている授業を受講すればいいのだろうが、そういう訳にも行かないので後学のために諸々議論してみたいというのが主旨。
まず、日本のアニメがすごいという点において、マンガが持つ役割が大きいのではないかと思うが如何であろうか。本書にはマンガとアニメの関係が説かれていないが、その繋がりを無視して日本のアニメは語れないのではと思うが。あるいは、敢えて無視したのか。
以下、ページ順の論点。
アニメ制作の工程で「音楽」が「音響制作」の中に含まれているが、音楽は非常に重要な要素なので独立させるべきではないか。プレスコとアフレコの違いと、その根底にある思想の違い、また、日本ではテレビアニメの音楽制作をレコードメーカーが担っているといった点も書くべきではないかと思う(制作予算に「音楽」の項目がない)。
「アニメーター貧乏物語」について労使関係を基本に説き明かそうとしているが、それ以前に、アニメーターの職制(動画、原画、作画監督)といった職制の解説とそれに伴う待遇等に対する説明があってもいいのではないか。
一般的に、「動画」「原画」「作画監督」などをアニメーターと一括りにしてしまう傾向があるが、定義として余りに乱暴ではないか思う。著者はその辺を理解しているはずなので、それを説明した上で、さらにアニメ制作企業ほ定義(元請け、グロス、作画)についても解説すべきであろう。
http://www.amazon.co.jp/ 日本のアニメは何がすごいのか-世界が惹かれた理由-祥伝社新書-津堅信之/dp/4396113595/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1402221008&sr=8-1&keywords=津堅信之
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